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モバイルネットワークの種類と特性を徹底解説

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WiFiは、光アクセスネットワークや、モバイルネットワーク(携帯電話網)とならぶ情報通信基盤といえる存在に成長してきました。これはWiFiが、次の3つの特性を持っていたことによって可能になったと考えられます。

これらは同じく電波を利用する携帯電話とWi― Fiの大きな性格上の差異と捉えることができます。

WiFIの3つの特性

  1. 誰でも使えるアンライセンスバンド
  2. 唯―の世界標準(デフアクトスタンダード)
  3. モバイルの集中制御とは違う自律分散制御

誰でも使えるアンライセンスバンド

1の「誰でも使えるアンライセンスバンド」というのは、ライセンス制の電波を使う携帯電話とは異なり、WiFiでは誰もが自由に高速のワイヤレスネットワークを構築できるということです。

限られた資源である電波を利用するには基本的には国の免許を受ける必要があります。特に広範なエリアをカバーし、高い公共性を持つ携帯電話用の周波数帯は、厳正な審査を受けた限られた企業以外には利用できません。利用するために免許が必要なこうした周波数帯を「ライセンスバンド」といいます。

他方、WiFiで用いられている2.4GHz帯や5GHz帯などの周波数帯は、一定の技術条件を満たしていることが証明された機器を用いれば、誰でも利用できます。こうした周波数を「アンライセンスバンド」といいます。アンライセンスバンドを使うWiFiでは、自分だけが電波を占有することができないため電波の干渉が起こる場合もありますが、使う人の意思に基づいて誰もがワイヤレスプロードバンドのネットワークを容易に実現することができます。

誰でも自由に電波を使えるWiFiでは、有線のLANなどと同じようにデバイスを自由に設計。製造できます。そのためWiFiチップはさまざまなデバイスに搭載されるようになり、スマートフォンの普及がその流れを一気に加速させました。ワイヤレスビジネスの成否を決める大きな要件の1つに、ネットワークにつながる端末が安くバリエーションを持って提供されることが挙げられます。

アンライセンスバンドを利用するWiFiはそれをクリアしているのです。2010年度のスマートフォンの世界の出荷数は約15億台、WiFiチップの出荷数は約30億でした。WiFiはスマートフォン、タブレットに標準で搭載されると共にパソコン、カメラ、オーデイオ機器やIoTデバイス等に搭載されています。

唯―の世界標準

2の「唯一の世界標準」というのは、WiFiがデフアクトスタンダードとして世界中どこででも使えることを意味しています。外国に行った時に電源のコンセントが違って困った経験をした人も多いのではないでしようか。これに対し無線LANは、機器に「WiFi」のマークがついていれば、世界中どこででも使えます。

当たり前と思われるかもしれませんが、これは非常に素晴らしいことなのです。移動通信も3GPP(3rd Generation Partnership Proiect)などの団体で標準化が行われていますが、互換性のない複数の規格が使われているため、海外から日本を訪れた人が自分の携帯電話を利用できないことがあります。

3Gに対応した端末であれば日本でも電話はできますが、自国と同じ感覚でスマートフォンを使ってデータ通信が行えるケースはまだまだ少ないのが現状です。

WiFiは唯一の世界標準ですから、世界中の人たちが日本でも自分のスマートフォンやノートパソコンを問題なく使うことができます。どこの国の観光客でもWiFi認証された端末はフリーWiFiのアクセスポイントに接続することができます。そこで日本では、大勢の外国人に日本に来てもらうため、国を挙げてフリーWiFi、誰でも利用できる公衆無線LANスポットの拡充に取り組んでいるのです。

携帯電話の場合は、デジタル携帯電話の2Gから3G、そして4G(LTE、LTE‐Advanced)へと世代を重ねる度に技術が大きく進化し、端末は使えなくなります。WiFiでは90年代に登場したIEEE80211bの無線LANカードを最新のIEEE802.1lac対応のアクセスポイントにつないでも問題なく使えます。

この後方互換性が確保されている点も携帯電話にはないWiFiの特徴といえるでしょう。

モバイルの集中制御とは違う自律分散制御

3の「モバイルの集中制御とは違う自律分散制御」というのは、少し分かり難いかもしれません。まず、ワイヤレスを使って通信を行う手法を基地局(アクセスポイント)と端末の関係から説明します。

wifiの自律分散制御

多数のユーザーが同じ周波数帯の電波を共用する移動通信では、それぞれの端末が勝手に電波を送出すると干渉して通信ができなくなってしまいます。そこで、端末が電波を送出するタイミングや周波数帯域などを制御・管理する無線アクセス制御の仕組みが必要になります。これには、大きく「集中制御」と「自律分散制御」の2つのやり方があります。

集中制御は、携帯電話が用いている制御方式です。この方式では、無線で端末をネットワークに接続する基地局が中心的な役割を担います。基地局は、端末から通信の要求があった場合、電波を出してよい周波数、送出のタイミング(時間)などをきめ細かく指示し、端末はこれに従って通信を行います。

親である基地局が全ての子である端末を管理。制御して、電波が干渉することなく効率的に利用できるようにするのです。こうした制御方式がとれるのは、特定の事業者にだけ電波の利用が許可された中で携帯電話端末が全て通信事業者の管理の下にあるからです。集中制御は、特にモバイルの移動通信サービスに適した制御方式といえるでしょう。

他方、家庭や企業のプライベートネットワークや公衆無線LANに用いられているWiFiでは、ネットワークによって所有者(管理者)が異なるので、すべてのデバイスをネットワーク側で細く制御する集中制御を用いるのは困難です。そこでよリシンプルな制御の仕組みとして、個々のデバイスが自ら空いている周波数、送出できるタイミングを選んで利用する、自律分散制御による無線アクセス制御方式が開発されました。

これがCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance:搬送波感知多重アクセス/衝突回避方式)です。

自律分散制御というのは、外部からの制御を受けずに分散した個々のノードが自律的に動作する制御方式の総称です。もともと軍事用ネットワークとして開発がはじまったインターネットは、自律分散制御を行うコンピューターネットワークとして知られています。これにより、ネットワークの一部が破壊されても通信を継続することができるのです。

自律分散制御の仕組みはPHSでも使われており、個々の端末の利用するチャネルは自律的にダイナミックに割り当てられます。掃除ロボットやこれから本格的な普及が期待されるドローン、つながるクルマなども同様の考え方で制御されています。

CSMA/CAではネットワーク内の各デバイスが、利用可能な複数の周波数チャネルの中からあらかじめ1つを選択しておき、そのチャネルにアクセスする際に他の装置が信号を出していないかどうかを確かめてから送信する仕組みが用いられています。この技術は人間の振る舞いになぞらえて「話す前に聞け」LBT(Listen Beおre Talk)と呼ばれています。

これによりパケットの衝突を回避して、通信リンクを確立できるのです。CSM A/CAは、一元的に管理する者がいないプライベートネットワークに適した仕組みです。

効率は必ずしも高くありませんが、多くのデバイスが同じ周波数を共用して通信できる、単純かつ実際的な無線アクセス制御システムといえるでしょう。

様々なモノがワイヤレスでつながる時代が到来し、多様なネットワークが出現することになります。多くの人たちが自由に自分のネットワークを構築できる自律分散制御のワイヤレスネットワークの位置付けは今後ますます重要になると考えられます。

WiFiが新たな無線プロードバンド網に

WiFiが企業、家庭、公衆スポットをはじめ、学校・病院。自治体・観光地等にも広く導入されてきた大きな要因として、ここで述べた、

  1. 誰でも使えるアンライセンスバンド
  2. 唯一の世界標準
  3. 自律分散制御

という3つの特性を挙げることができます。

1が制度面で、2が利便性・コストの面で、3が運用の簡便さ・スケーラビリテイの面で、WiFiの普及を支えてきたのです。

こうしたWiFiのネットワークは基本的にはロケーションオーナーが自らの利便のために整備したものですが、商業施設や企業、病院などでは、この設備を公衆無線LANサービスとして来訪者に開放し、集客、売上アップ、サービス向上、差別化につなげようとする取り組みが広がっています。

この関係を1つのWiFiネットワークを自分たちで使うだけでなく、そこを訪れる幅広い人にも便益を提供しています。こうした展開は、キャリア主導のモバイルネットワークでは考えられなかったものです。

WiFiはインターネットとよく似ています

インターネットは様々なネットワークが互いにつながってできている巨大なネットワークです。社内LANはその会社の情報システム部門によって運用されています。ISPのネットワークもそれぞれのISPによって運用されています。インターネットはこうしたそれぞれ各自が運用しているネットワークが、必要に応じて相互接続することにより成り立っているのです。

独自に運営する組織が、それぞれ管理するネットワークを相互接続し便利に使えるようにしよう。この自律分散・協調的な考え方がインターネットの根幹です。各自が自分の責任の範囲に集中することにより、スケーラビリティが生まれます。

1つ1つは小さなWiFiネットワークが自己組織化し、簡単な手続きで相互に乗り入れ可能になれば、現在の携帯電話のネットワークに匹敵するワイヤレスブロードバンドネットワークが実現できる可能性があるのではないでしょうか。

普及が見込まれる4つの無線LAN規格

前節で述べたように、WiFiは今「第4のステップ」を迎えています。2020東京オリンピック・パラリンピックヘの対応やIoTの進展が、この飛躍の原動力になると思われます。さらに見逃せないのが、WiFi自身がこうした新たな時代のニーズを満たせるものに進化してきていることです。

WiFiは同世代のモバイルシステムよりはるかに高速で展開してきました。これからモバイルは第5世代(5G)が本格化しますが、そのスピードをWiFiはすでに実現しています。

IEEE802.11ac

WiFiの進化の方向性の1つが、高速。大容量化です。

2014年に正式版(ドラフト版は2013年)がリリースされたWi― Fiの最新規格IEEE802.11acは、従来のIEEE802.11nの11.5倍、6.9Gbpsもの最大通信速度を実現しています。

6.9Gbpsは規格上の最大速度ですが、すでにコンシューマー向けに1300Mbpsに対応するWiFiルーターが販売されており、IEEE802.11acに対応したスマートフォンも433Mbpsでの通信が可能です。高速化により4K、8Kといった高精彩動画のやり取りに対応できます。IEEE802.11acは周波数の利用効率が高く、運用される5GHz帯には455MHz幅という広い周波数が割り当てられているので、オフィスのネットワークを全てWiFiに置き換えてしまうといったニーズにも十分に対応できます。

IEEE802.11acは2020年までのWiFiのメインストリームになるはずです。

IEEE802.11ad

もう1つ、興味深い高速無線LAN規格IEEE802.11adの展開が2017年から本格化しています。この規格は他のWiFi規格が利用している2.4G/5GHz帯より格段に高い周波数帯60GHz帯を使うもので、IEEE802.1lacとほぼ同等の6.8Gbpsでの通信を可能にしています。

規格は2012年に策定されましたが、2016年にWiFi Anianceの認証が始まったことで、製品展開が加速してきました。60GHz帯は光と同じような直進性の高い性質を持ち、間に障害物があると通信が困難になるため、主に室内での映像機器などの接続に用いられることになると見られています。

IEEE802.11adはこれまで通信にはあまり使われてこなかった60GHz帯を用いることで、9GHzという非常に広い周波数幅を利用できるようになりました。これにより6.8Gbpsという超高速通信を実現したのです。

IEEE802.11ax

IEEE802.11axは高速。大容量化によって、高精彩動画の伝送などを可能にすると同時に、多くの利用者をネットワークに収容できるようにします。とはいえ、IEEE802.11acにも限界があります。サッカーのスタジアムなどでは限られたエリアに非常に多くの観客が集まります。最近ではこうした観客の多くがスマートフォンで情報を得るだけでなく、試合の様子を画像や動画でクラウドにアップロードするようになっています。

こうなるとIEEE802.11acでも十分に対応しきれません。

こうした高密度空間で高いパフォーマンスを発揮できる次世代の無線LAN規格として検討されているのがIEEE802.11axです。IEEE802.11axでは、混雑したスタジアムなどでの収容能力をIEEE802.11acの4倍に向上させることになります。

さらにLTEで用いられている無線アクセス技術OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:直行周波数分割多元接続)の適用などにより10Gbpsを超える超高速通信の実現が見込まれています。IEEE802.11axの規格化の完了は2019年といわれており、まだ最終的な仕様などは固まっていません。

IEEE802.11ah

WiFiの進化の方向性は高速。大容量化だけではありません。むしろ、これと異なる方向への進化を目指しているのが、IoT向けの新しい無線LAN規格IEEE802.11ahです。

WiFi Allianceでは、IEEE802.11ahに「Wi‐ Fi HaLow(ヘイロー)」という愛称を付けてプロモーションを行っています。IEEE802.11ahは、サブGHz帯と呼ばれる800/900MHz近辺のアンライセンスバンド(日本では920MHz帯)を利用しています。サブGHz帯はWiFiで使われている2.4/5GHz帯に比べて、電波が回り込みやすく遠くまで届く特性があり、米国などではこれを活かして半径lkm程度をカバーできる広域無線LANシステムの実用化が検討されています。

反面、サブGHz帯では利用できる帯域が狭く、遠くまで電波を届かせる必要があるため通信速度は150kbpsに抑えられています。なお、この速度は日本で導入が想定されているlMHz幅の電波で運用した場合のものです。

センサーネットワークなどでの利用を想定して、1つのアクセスポイントに接続できるデバイスの数を現在の1024から8192に拡大し、内蔵電池で数年間稼働できる高い省電力性も有しています。

最近話題になっているSigbxやLoRaなどのLPWA(Low Power Wide Area:小電力広域無線)と呼ばれるIoT向けの無線システムと同様の狙いを持った無線LAN規格といえます。

IEEE802.11ahの商用化は2018年に開始されています。IEEE802.11ac/ad/ahの3規格の特性を示しました。IEEE802.11acは周波数を効率的に利用するMIMO(multiple‐ input and multiple‐ output)などの技術を用いて7Gbps近い超高速通信を実現しており、ある程度の長距離通信も可能です。

他方、IEEE802.11adは60GHz帯の広い周波数帯域を利用してシンプルな技術でIEEE802.11acと同等の超高速通信を実現していますが、通信距離は短くなります。これらと対照的なのがIEEE802.11ahで、逆に通信速度は非常に遅いのですが、遠くまでデータを送ることができ、省電力性にも優れています。

これらの新規格の普及によりWiFiの活用領域は大きく広がり、新たな市場が生み出されることになるでしょう。企業、家庭、さらにパブリックに設置されるWiFiのアクセスポイントはac、ad、ax、ahのモジュールが搭載されたマルチモードのアクセスポイントになり、様々な通信需要に対応する時代が間もなくやってきます。

lot時代におけるWiFiの役割

WiFiの「第4ステップ」を牽引するのがIoTの進展といえるでしょう。

IoT時代に向け今後様々なモノがインターネット、クラウドにつながっていきます。2020年には500億個を超えるデバイスがネットワークに接続されると予想されています。その中核的な役割を担うと期待されているのがWiFiです。

loTシステムの中核

WiFiは、まずノートパソコンに、次にスマートフォンやNAS(ネットワークアクセスサーバー)などの周辺機器や、ゲーム機などにも広く搭載されるようになりました。近年はテレビ、デジタルカメラ、ミュージックプレイヤーなどの情報家電、エアコン、ヘルスケア製品などWiFiを搭載した機器の裾野は大きく広がっています。

IDCの調査によると、2.4GHz帯の無線LAN搭載機器の出荷台数は2001年に800万に達したと見られています。1999年に相互接続が保証されたチップのIEEE802.1lbが販売されてから急激に増えたことが分かります。

2020年までのWi‐ Fi出荷数を図表2-3‐2に示します。2017年にはWiFiの通信チップ(LSI)の出荷数が36億個に達し、2015年から19年までの5年間の累計出荷数は180億個に達すると予測されています。2021年の出荷数は40億になると予想されます。2020年時点で使われるloTデバイスが500億個だとすると、その相当部分をWiFi搭載機器が占めると見てよいでしょう。

WiFi機器の伸びの要因は製品バリエーションの広がりだけではありません。より重要なのは、すでに家庭や企業に広くWiFiのネットワークが導入されており、IoT機器の制御や管理を担うパソコンやスマートフォンがこれらに接続されていることです。もはやIoTネットワークをWiFiを抜きにして考えることは困難なのです。

IoTの主要なユースケースの1つであるスマートホームも、エアコンやテレビがWiFiをサポートしていれば、WiFiをベースにして整備される可能性が高くなります。多くのデータを送出するホームセキュリテイ用のIP監視カメラを無線でホームネットワークに収容するには、WiFi以外に選択肢はありません。

もちろん、WiFiだけでIoTのニーズを全て満たせる訳ではありません。例えば小型の内蔵電池で長期間稼働させる必要があるセンサーは、現在のWiFiでは対応が難しい分野です。この領域では、BluetoothやZigBee、Z―Wave、EnOcean、Threadなどさまざまな技術が覇を競っていますが、これらは多くの場合WiFiと組み合わせて使われることになるでしょう。

家庭や企業に設置されるIoTデバイスはWiFiで接続することになると考えられます。

家庭向けloTで期待されるIEEE802.11ah

前述のIEEE802.11ahが実用化されることで、センサーネットワークにおいてもWiFiの利用が広がる可能性もでてきます。日本では、920MHz帯を利用している狭帯域無線や無線タグなどへの影響を避けるためにIEEE802.1lahは微弱な電波でないと運用が認められないのではないかと懸念されています。

それでも家の中では十分に実用になりますし、既存のWiFiネットワークとの親和性が高い点は大きなアドバンテージになります。さらに、米国で計画されている、IEEE802.11ahで半径lkmをカバーするようなシステムが日本でも可能になればWiFiの大きな市場の創出が可能になります。

現在、スマートシテイ、スマートパーキングのような屋外を対象とするユースケースは日本ではLoRaやSigfoxが先行し注目をあびています。また、携帯電話のネットワークを用いるNB-IoTなどのIoT向けワイヤレスシステムの開発と実用化が進められています。しかし、IoTと一口で言っても、IoTデバイスによって情報量、伝達距離が異なリワイヤレスシステムに要求される条件が異なります。

情報量の少ないIoTデバイスはLoRaやSigおxで対応可能ですが、写真や画像を送りたい場合にはIEEE802.11ahが必要になるでしょう。IEEE802.11ahのメリットは、今のWiFiのように誰もが量販店などでIEEE802.11ah対応のアクセスポイントと端末を買えば簡単に自分のIoTネットワークを構築することが可能になることです。

モバイルとWiFiとの関係

今のモバイル(携帯電話)とWiFiは相互補完関係が成り立っています。IoT時代になるとLoRaやSigbxが登場しWiFiとの補完関係が崩れるという見方もありますが、IoTでは多様なワイヤレスシステムが必要となるため、現在のモバイルとWiFiの関係と同様、それぞれの特性を生かした相互補完が成り立つと考えられます。

モパイルとWiFiは相互補完関係

携帯電話に代表されるモバイル(移動通信システム)とWiFiの関係について考えてみたいと思います。集中制御のモバイルと、自律分散制御のWiFiのネットワークは性格を大きく異にしており、ビジネスモデルにも違いが生じています。

2つのネットワークの差異は、多くの人が共用する公共的な乗り物や建物と、個人が所有するマイカーやマイホームの違いと捉えると分かりやすいかもしれません。

モバイルは、国の厳正な審査の下に独占的に電波をライセンスされ、多くのユーザーにサービスを提供するパブリックネットワークです。これに対してWiFiは企業や個人が、キャリアとの設備分界点の内側で構築・運用するプライベートネットワークです。我々の生活にはどちらか一方ではなく、公共の利益のためのネットワークと企業・個人のそれぞれが責任を持って自由に構築するネットワークとの両方が不可欠です。

この前提の下で、様々なビジネスが生まれてきているのです。現在のモバイルとWiFiは相互補完の関係にあるといってよいでしょう。

モバイルは日本全土を広くカバーしていますが、スマートフォンの普及により、特に都市部では十分なネットワーク容量を確保することが難しくなり、トラフイックの相当部分をWiFiにオフロードするようになっています。4K、8Kといった高精彩動画がやり取りされるようになれば、この傾向はさらに強まることになります。

すでに日本のインターネットトラフイックの60%はWiFiによって運ばれています。

モバイルにとっては、電波が届きにくく、大量のトラフイックが発生するビルや商業施設内部のエリア化は重要な課題ですが、コスト面などから必要な全ての場所に自ら基地局を整備するのは困難が伴います。そこで、WiFi設備を活用したトラフイックオフロードはその重要な代替手段にもなるわけです。

他方、WiFiは家や会社でなくてはならない存在ですが、屋外に出ると公衆無線LANが整備されているエリア以外では使うことができません。また、移動中のバスや列車の中ではまだ十分WiFiは使えません。公衆無線LANとモバイルを連携させればこうした問題を解消できます。

性格の異なるネットワークが相互補完することで、ユーザーに利便性の高いサービスを提供することが可能になるのです。

新技術の登場で新たな展開へ

光とモバイルとWiFiは相互補完の関係にあると言えます。ところが、新たな技術の登場に伴い、この穏やかな相互補完の関係に「競合」と「協業」の関係が生じつつあります。

新たな技術は、大きく2つに分けて捉えることができます。1つはIoT時代に向けて登場してきている様々なワイヤレスシステムです。LoRa、Sigbx、NB― IoT、5G、そしてIEEE802.1lahを含むWiFiです。IoTをクラウドにつなげる場合には、適用する速度や距離の特性が異なる多様なワイヤレスシステムが必要になります。

そのためこれらは一部競合しながら多様なニーズを満たすために、基本的には相互補完の関係にあると考えられます。

もう1つは2015年頃から米国を中心に議論が始まった、WiFiで使われている5GHz帯のアンライセンスバンドを、LTE携帯電話でも使えるようにする技術です。

携帯電話向け半導体トップの米クアルコムがLTE‐U(LTE in unlicensed spectrum)という技術を開発しています。3GPPでもLTE‐Uと同様の機能を日本や欧州などでも使えるようにするLAA(Licensed Assisted Access using LTE)が2016年に標準化され、議論が日本にも飛び火する可能性が出てきました。

この種の技術が登場してきた基底には、トラフイックの急増による携帯電話の周波数のひっ迫があると考えられます。特に米国などでは周波数を取得するためにオークションで高額なコストを負担する必要があることも、LTE‐ U/LAAへの関心が高まる要因になっているようです。

5GHz帯には、米国で580MHz幅(日本では455MHz幅)という、携帯電話に割り当てられている全ての周波数合計に近い広い周波数がアンライセンスバンドとして設定されています。この帯域を使って低コストにネットワーク容量の拡大が図れるのであれば、携帯電話事業者にとって魅力があることは確かでしよう。

しかし、LTEとWiFiは似ていますが、あくまで異なる通信技術です。そこで、LTE-U/LAAを5GHz帯に導入した時にWiFiの加入者に悪影響を与えないかの検討が進められています。

WiFii Anianceは、2015年にLTE-U/LAAに関して慎重な検討を行うよう、電波行政を所管するFCC(米連邦通信委員会)に要望しました。共存の議論については、WiFiベンダーから「LTE-U/LAAの推進派が提出するデータは甘すぎる。共存できるという結論を導くためのものに過ぎないのではないか」との見解も聞かれます。

ユーザーの利便性、運用の観点から事実をもっと検証する必要があります。

さらに、LTE-U/LAAについては、単に技術的に共存できるかを議論するだけでいいのかという問題があります。「ライセンスバンド」の割当を受けて事業を行っているモバイル事業者が、周波数が足りないからといって「アンライセンスバンド」を使って事業を行うというのが望ましいのだろうかということです。

モバイルとWiFiは技術的にもビジネスモデルの面でも性格を異にします。それを踏まえて双方が発展できるよう「ライセンスバンド」と「アンライセンスバンド」が分けられているのです。

5GHz帯の周波数も決して「空いて」いる訳ではなく、IoTの本格展開にWiFiが必要だからこそ帯域が確保されているのです。携帯電話でその役割を代替することはできません。

LTE-U/LAAの導入を主張する人々の中には、パブリックネットワークであるモバイルの方が、プライベートネットワークのWiFiより重要だという考え方があるのかもしれません。しかし、そうした発想では、一番肝心なユーザーの利便性ということが守られませんし、IOTの本格普及も望めないのではないでしょうか。

まとめ

鍵は全体最適化とユーザー視点

LTE-U/LAAは、既存の携帯電話の周波数帯とペアを組んで運用することを前提としたシステムで、携帯電話事業者以外は使うことができませんが、これを切り離してLTEを無線LANのように使えるようにする「MulteFire」という技術を実用化しようとする議論も並行して進められています。

MulteFireは、LTE-U/LAAと同じくクアルコムやノキアをはじめとする21社が推進しているもので、WiFiに比べて周波数利用効率が高く遅延も小さいLTEをプライベートネットワークでも使えるようにして高度なサービスを実現することを狙っています。ユーザーにとって魅力あるものになる可能性もあるかもしれません。

MulteFireもLAAと同じく、既存のWiFiのネットワークに影響を与えないかを慎重に検討していく必要があります。特に注意しなければならないのが、単体のシステムとして見ればWiFiよりLTEの方が周波数効率を向上させることができるとしても、同じ帯域にWiFiとLTEが混在することになった場合、トータルでは周波数利用効率が下がってしまうのではないかということです。

LAAと同様です。個別の最適化ではなく全体最適化を図らなければならないのです。日本の5GHz帯の技術基準は現在WiFiを前提として定められています。昨年、5GHz帯の一部の帯域をドローンの映像伝送と共用することになりましたが、これにもWiFiベースのシステムが使われます。

米国などではアンライセンスバンドでは運用システムを制約しないという考え方がとられていますが、帯域の有効利用やユーザーの利便性を考えると、システムをある程度統一した方が、メリットが大きいのではないでしょうか。

3GPPでは、WiFiとLTEを組み合わせてLAAと同様の運用を可能にするLWA(LTE WiFi Link AggregatiOn)という技術も標準化されています。IEEE802.1laxが登場すれば、MulteFireで想定されている機能の多くはWi‐ Fiで実現されるでしょう。異質のLTEシステムを使うLAAやMulteFireを慌てて5GHz帯に導入しなければならない理由はないと考えられます。

LAAやMulteFireをめぐる議論には、ユーザーの利便より、通信事業者やベンダーの都合があるように思えてなりません。これからの「ワイヤレス新時代」に重要なことは、今後どのようなワイヤレスサービスが必要となるのかを考え、システム全体の最適化を図ることです。

何より重要なのは、ネットワークを利用するユーザーの視点に立つことです。10Tビジネスの成否は、この視点を実現できるかどうかにかかっているといってよいでしょう。

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